CDのこと。
12月2日に全国のCDショップその他で発売されるミニ・アルバム『Simultaneity』の楽曲たちを、先日マスタリングのためにイギリスへと送り出しました。いいな、イギリス。行きたいな、イギリス。
このアルバムの制作に取り掛かったのが2014年の3月なので、ここへたどりつくまでしっかり1年半かかってしまった。ほんとうに要領が悪いんだから。
次があればもっとうまくできるとおもいます。そうであってほしい。
そして、すでにTwitterやFacebookでおしらせした通り、このアルバムの予約受付が開始されました。すでにTwitterなどを通して「我予約完了せり」とのご報告をたくさんいただいており、その報せに励まされるばかりです。ありがとうございます。
まだどんな曲が入っているかほとんどわからない段階なのに、シャルロのCDであるというその一点だけで予約してくださる方がこんなにいるのかと。今後はほうぼうに足を向けて眠れないので、立ったまま寝る必要がありそうです。
これまでデータ配信が楽曲の主な流通手段だった私は、自分の作った楽曲をモノとして販売するのはほとんどはじめてのことで、ちょっとしたマタニティブルーのような、と言っても私はマタニティを経験したこともする予定もないのであくまで想像上の、なんか想像妊娠?的な?何を言っているんだ私は?ともかくそういった感覚を多少覚えつつも、私はちょうど多感な時期にCDで音楽に親しんできた世代であるということもあり、自分の作った音楽がそのCDになり、お店に並ぶというのはとてもわくわくする出来事であると言わざるを得ません。
幼い頃、父親にねだってレンタルCDショップへ連れて行ってもらい、何枚かCDを借りて家に帰り、それをカセットテープに録音している時(録音レベルを調整するフェーダーを操作する作業は、ただ音量を調整するだけの作業であるにもかかわらず、なんだか特別な事をしているような素敵な気分に私をさせてくれたものです。)の、得もいわれぬ興奮を私はまるで先々週のことのように思い出せます。結構遠い記憶です。
その時々のお気に入りの曲が詰まったカセットテープを、家の中や車の中で何度も繰り返し聴いていたことを覚えています。改めて思い返すと、あの頃って本当に一曲一曲に対する思い入れが強かったのだなあ。私が変わってしまったのか時代が変わってしまったのか……。それで思ったのですが、これってCDではなくカセットテープの思い出じゃないですか。
このように、CDよりもむしろカセットテープで音楽に親しんでいた私ですが、それでも当時はカセットテープよりも格上な、なんとなく身の引き締まるような特別な印象をCDに対しては抱いていたものです。
最近はもっぱらデータで音楽を聴くことが多く、中身を抜き出された後は何かと影の薄いCDですが、それでも未だに音楽を入手する手段はCDがメインですし、私にとって大切なメディアであることに今でも変わりはありません。
ところで、話は変わりますが、今回のアルバムは個人レーベルからのリリースとなります。『nora recordings』と名付けたこのレーベルには、私の他には、莫大な資金も、何か困ったときに相談にのってくれるマネージャーも、制作に行き詰った時に癒しを与えてくれるペットのミニブタもいません。とどのつまりは、レーベルとは名ばかりの自主制作です。
流通以外のことはほぼ全部自分で取り仕切ったので、「CDってこういう過程を経てお店に並んでいたのか!」ととても勉強になりました。音楽をやっている方は一度はやってみるといいとおもいます。
「全部自分で取り仕切った」とは言いつつも、私ひとりの力でアルバムを作ってお店に並べることはできません。お金も甲斐性もなく、それでいて我儘は無責任に言いたくる河野のこのCD制作チャレンジは、たくさんの人たちのご厚意と優しさによって成り立っています。甘えに甘えさせていただきました。本当に頭が上がりません。
ここまで紆余曲折ありましたが、リリースまであとひと月です。いろんな方々の力をお借りしながら、もうすこし頑張ろうとおもいます。よろしくお願いします。