What is going on ‘round you?

ジャケットを依頼するにあたって、双葉レイさんに渡したメモの一部。
いささか乱暴な理屈ではある。

・歌詞中では明確には語られないが、被害者の周りでは「何が起きて(What is going on)」いるのか?

・とかく我々は短いニュース記事などの伝聞によって出来事を理解した気になるが、果たして第三者に「客観的な事実」を理解することは可能か?
それどころか出来事の当事者ですら自分が行ったことや感じたこと、経験したことに対する事後の再解釈は免れず、人間の認知を介するとどうしても「事実」は変容する。だとしたら、あるがままの「客観的な事実」というものは存在せず、「主観的な事実」しか存在しえない。なら結局のところその時その場所では実際には「何が起きて」いたのか?

・当事者やその周囲の人々によって語られた「主観的な事実」は、メディアの「主観的な事実」に置き換えられたうえで伝播され、個々人の間でそれぞれの「主観的な事実」が共有され、人々の望む理想の被害者像と加害者像が作り上げられていく(被害者の実像など誰も見ていないのかもしれない)。その虚像に対して憤りや悲しみなど思い思いの感情をぶつける私たち(すなわち元々の出来事の当事者の周縁)には一体「何が起きて」いるのか?